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歌津の漁師さんへのインタビュー

 ◎自宅避難地区の漁師さんの現在の生活状況を知るため、私が世話人(漁師さん)に
いろいろ質問して可能な範囲で答えてもらいました。 (個人情報もありますので私が多少修正しています)

5月15日 Q、自立のためには仕事をすることが欠かせないが仕事はどうなってい
るのか?
A、今は秋鮭に期待してます。これからだと8月後半まで本当はタコやツブ貝や毛ガニ
やウニだったんですけど。市場もなく、港も壊れ、海も荒れている。とても漁に出られ
るような状況ではありません。
ワカメの収穫は春で種をつけるのは10月です。ですので半年くらいで出来ます。
でも今年は種があるのかわかりません。

Q、出漁の前提となる海のがれきの除去はどうなっているのですか?
A、がれきの除去は無償でずっとしていましたが、一週間位前から漁業協同組合から日
当(1万円)が出るようになりました。ただ人が多いので1日働いたら1日休みです。
条件もあり組合員であることと、家から1人だけ。
本格的な瓦礫除去は歌津はまだまだこないと思います。

Q、事実上無収入が続いているわけですが、被災者のローンなど各種支払いはどうなっ
ているのですか?
A、税金は申告も納付もしばらくの間停止するとの事年金や保険は請求がきたので納め
ま した。携帯、ガス、電気の請求は普通にきます。
船のローンは年に一度払うんですけど、一年間は待つらしいです。漁師といっても漁の
内容も船の大きさもさまざまですが、10トンクラスの船だとローンは年200万円を
超えます。船を流された人は仮に新たな船を購入するのに資金を融資してくれても前の
借金があれば返済は厳しい。
船を流されてなくて漁を再開しても二年分を一度に返すのはしんどい。  

Q、船を失った人はどうしてるか?
A、新しく船を契約した人も何人かいます。(北海道の造船会社)
後継者のいない人だったり、高齢の人はこのまま辞めるかもしれません。
借金は高額でも漁さえ出来れば何とかなるという希望はあります。
僕の家は船も漁具も残ったのでそんなにかからないと思いますが船も漁具も無くなった
人は一億近くかかる人もいると思います。一言で漁業と言っても色々種類があります。
養殖業の船の事や設備投資の事はよくわかりません。
漁を一人でやってる人も沢山います。船の値段込みで300万円〜1000万円位の設備投資で
前の生活に戻れる人もいます。
  日当一万円とかじゃまず払えないですけど…。

Q、漁の再開について行政の考えは?
A、村井知事が漁業の復興構想を打ち出しましたが、漁業者はもれなく全員反対です。
民間の強い会社に漁業権を与えて漁師を雇うとかそんな感じだったと思います。


Q、生活インフラはどうなっていますか?
A、電気は4月29日に復旧しました。上下水道、ガスは見通しは立っていません。

Q、義援金や支援金の遅れを聞いているか?
A、全然聞いてません。自宅避難者にも配分あればいいんですけど…。

Q、自宅避難者の支援について町の考え
A、二日に一回のわずかな配給だけで暮らしてます。パンだけとかです。なのでボランテ
ィアの皆様の支援がすごく助かっています。本当に本当にありがたいです。
支援してくださる方に何が欲しいか電話で聞かれる時があって、今までは日用品とか消
耗品と答えてたんですけど、ここ最近、配給がホントに少なくなって食料が不足してき
ました。